演劇の発生練習(基礎)五十音や外郎売

演劇MAP演劇

発声練習

発声練習をやる前に

まずは全身をストレッチや筋トレでほぐします。
顔や首のストレッチもやっておきます。
発声をやる前に一度脱力をやるのもいいでしょう。

続いて正しい姿勢をとります。
脚を肩幅くらいに開き、肩の力を抜き肩が上がらないようにします。
顎(アゴ)を軽く引き、目線は下がらないように真っ直ぐにします。
後頭部の髪の毛を上から軽く引っ張られるような感じで体を真っ直ぐにしましょう。

続いてブレス(演劇では息継ぎや呼吸の仕方)、ハミング等をやり発声練習に入るのがいいでしょう。

ロングトーン

同じ音を伸ばし続ける練習方法。
ロングトーンをすることで、声を安定して出せるようになります。
ロングトーンのしかた
息が吐けなくなるまで、同じ音を発声し続けます。
なるべく同じ息の強さ、同じ音程を保つように発声しましょう。
色々な母音、音の高さで行ってみます。腹式呼吸を意識しましょう。

)開始時に、息を吸いすぎないように!
息を吐ききった状態で、力を抜くと自然に息が吸われます。その状態からロングトーンを開始すると調度良いでしょう。

2・1・15

これはロングトーンと同じですが、1人が手拍子や声に出してカウントを取りながらやります。
2拍で息を吸って、1拍息を止める、15拍で発声します。
これを連続して何度か繰り返します。

五十音

スタッカート

一音ずつ切って歯切れよく発生する。
腹筋を使ってリズムをとりましょう。

レガート

なめらかに音をして発声します。
一定の息の量をはき、なめらかに音を出しましょう。

あえいうえおあお  かけきくけこかこ  させしすせそさそ
たてちつてとたと  なねにぬねのなの  はへひふへほはほ
まめみむめもまも  やえいゆえよやよ  られりるれろらろ
わえいうえをわを
がげぎぐげごがご  か゜け゜き゜く゜け゜こ゜か゜こ゜(鼻濁音)
ざぜじずぜぞざぞ  だでぢづでどだど
ばべびぶべぼばぼ  ぱぺぴぷぺぽぱぽ
きゃきぇきぃきゅきぇきょきゃきょ  しゃしぇしぃしゅしぇしょしゃしょ
ちゃちぇちぃちゅちぇちょちゃちょ  にゃにぇにぃにゅにぇにょにゃにょ
ひゃひぇひぃひゅひぇひょひゃひょ  みゃみぇみぃみゅみぇみょみゃみょ
りゃりぇりぃりゅりぇりょりゃりょ

※高音や低音でも発声してみましょう。
 高音で発声する時は、裏声にならないように!

滑舌

※次の五十音は早く確実にやりましょう。

あいうえお  いうえおあ  うえおあい  えおあいう  おあいうえ
かきくけこ  きくけこか  くけこかき  けこかきく  こかきくけ
さしすせそ  しすせそさ  すせそさし  せそさしす  そさしすせ
たちつてと  ちつてとた  つてとたち  てとたちつ  とたちつて
なにぬねの  にぬねのな  ぬねのなに  ねのなにぬ  のなにぬね
はひふへほ  ひふへほは  ふへほはひ  へほはひふ  ほはひふへ
まみむめも  みむめもま  むめもまみ  めもまみむ  もまみむめ
やいゆえよ  いゆえよや  ゆえよやい  えよやいゆ  よやいゆえ
らりるれろ  りるれろら  るれろらり  れろらりる  ろらりるれ
わいうえを  いうえをわ  うえをわい  えをわいう  をわいうえ
かきくけこ  きくけこか  くけこかき  けこかきく  こかきくけ
がぎぐげご  ぎぐげごが  ぐげごがぎ  げごがぎぐ  ごがぎぐげ (鼻濁音でも同時に)
ざじずぜぞ  じずぜぞざ  ずぜぞざじ  ぜぞざじず  ぞざじずぜ
だぢづでど  ぢづでどだ  づでどだぢ  でどだぢづ  どだぢづで
ばびぶべぼ  びぶべぼば  ぶべぼばび  べぼばびぶ  ぼばびぶべ
ぱぴぷぺぽ  ぴぷぺぽぱ  ぷぺぽぱぴ  ぺぽぱぴぷ  ぽぱぴぷぺ
きゃきぃきゅきぇきょ  きぃきゅきぇきょきゃ  きゅきぇきょきゃきぃ  きぇきょきゃきぃきゅ  きょきゃきぃきゅきぇ
しゃしぃしゅしぇしょ  しぃしゅしぇしょしゃ  しゅしぇしょしゃしぃ  しぇしょしゃしぃしゅ  しょしゃしぃしゅしぇ
ちゃちぃちゅちぇちょ  ちぃちゅちぇちょちゃ  ちゅちぇちょちゃちぃ  ちぇちょちゃちぃちゅ  ちょちゃちぃちゅちぇ
にゃにぃにゅにぇにょ  にぃにゅにぇにょにゃ  にゅにぇにょにゃにぃ  にぇにょにゃにぃにゅ  にょにゃにぃにゅにぇ
みゃみぃみゅみぇみょ  みぃみゅみぇみょみゃ  みゅみぇみょみゃみぃ  みぇみょみゃみぃみゅ  みょみゃみぃみゅみぇ
りゃりぃりゅりぇりょ  りぃりゅりぇりょりゃ  りゅりぇりょりゃりぃ  りぇりょりゃりぃりゅ  りょりゃりぃりゅりぇ

※舌の運動、まずは30秒ずつくらいくらいでレロレロ~ダダダまで続けて言ってみましょう。

レロ レロ レロ レロ レロ レロ レロ レロ……
レロラレロ レロラレロ レロラレロ レロラレロ……
ラレリルレロラロ ラレリルレロラロ ラレリルレロラロ……
ララララララララ……
ダダダダダダダダ……

鼻濁音

鼻から抜くような感じ
ガ行の音を柔らかく発音します、アナウンサーやナレーターが使うテクニックの一つ

北原白秋「五十音」

水馬(あめんぼ)赤いな、ア、イ、ウ、エ、オ。
浮藻に小蝦(こえび)もおよいでる。
柿の木、栗の木、カ、キ、ク、ケ、コ。
啄木鳥(きつつき)こつこつ、枯れけやき。
大角豆(ささぎ)に酸(す)をかけ、サ、シ、ス、セ、ソ。
その魚浅瀬で刺しました。
立ちましょ、喇叭(らっぱ)で、タ、チ、ツ、テ、ト。
トテトテタッタと飛び立った。
蛞蝓(なめくじ)のろのろ、ナ、ニ、ヌ、ネ、ノ。
納戸(なんど)にぬめって、なにねばる。
鳩ぽっぽ、ほろほろ、ハ、ヒ、フ、ヘ、ホ。
日向(ひなた)のお部屋にゃ笛を吹く。
蝸牛(まいまい)、螺旋巻(ねじまき)、マ、ミ、ム、メ、モ。
梅の実落ちても見もしまい。
焼栗。ゆで栗。ヤ、イ、ユ、エ、ヨ。
山田に灯(ひ)のつく宵の家。
雷鳥は寒かろ、ラ、リ、ル、レ、ロ。
蓮華(れんげ)が咲いたら、瑠璃(るり)の鳥
わい、わい、わっしょい。ワ、ヰ、ウ、ヱ、ヲ。
植木屋、井戸換え、お祭りだ。

外郎売

拙者(せっしゃ)親方(おやかた)と申すは、御立合(おたちあい)の中(うち)に御存知(ごぞんじ)のお方(かた)もござりましょうが、
お江戸を立(た)って二十里(にじゅうり)上方(かみがた)、相州(そうしゅう)小田原(おだわら)、一色町(いっしきまち)をお過ぎなされて、青物町(あおものちょう)を登(のぼ)りへお出(い)でなさるれば、
欄干橋(らんかんばし)虎屋藤右衛門(とらやとうえもん)、只今(ただいま)は剃髪(ていはつ)いたして円斎(えんさい)と名のりまする。

元朝(がんちょう)より大晦日(おおつごもり)まで、お手に入れまする此(こ)の薬は、
昔、ちんの国の唐人(とうじん)、外郎(ういろう)という人、わが朝(ちょう)へ来(き)たり。
帝(みかど)へ参内(さんだい)の折(おり)から、この薬を深く籠(こ)め置(お)き、 用(もち)ゆる時は一粒(いちりゅう)づつ、冠(かんむり)のすき間(ま)より取出(とりいだ)す。
依(よ)ってその名を、帝(みかど)より「頂透香(とうちんこう)」と賜(たまわ)る。
即(すなわ)ち文字(もんじ)には、「いただき、すく、におい」と書いて「とうちんこう」と申す。
只今は此(こ)の薬、殊(こと)の外(ほか)世上(せじょう)に弘(ひろ)まり、ほうぼうに似看板(にせかんばん)を出(いだ)し、
イヤ、小田原(おだわら)の、灰俵(はいだわら)の、さん俵(だわら)の、炭俵(すみだわら)のと、色々に申せども、 平仮名(ひらがな)を似(も)って「ういろう」と記(しる)せしは親方円斎ばかり。
もしやお立合(たちあ)いの内(うち)に、熱海(あたみ)か、塔(とう)の沢(さわ)へ湯治(とうじ)にお出(いで)なさるか、 又(また)は、伊勢(いせ)御(ご)参宮(さんぐう)の折(おり)からは、必ず門(かど)ちがいなされまするな。
お登(のぼ)りならば右(みぎ)の方(かた)、お下(くだ)りならば左側(ひだりがわ)、 八方(はっぽう)が八(や)つ棟(むね)、おもてが三(み)つ棟(むね)玉堂造(ぎょくどうづく)り、破風(はふ)には菊(きく)に桐(きり)のとうの御紋(ごもん)をご赦免(しゃめん)あって、 系図(けいず)正しき薬(くすり)でござる。

イヤ最前(さいぜん)より家名(かめい)の自慢(じまん)ばかり申しても、ご存知ない方(かた)には、 正身(しょうしん)の胡椒(こしょう)の丸呑(まるのみ)、白河夜船(しらかわよふね)、
さらば一粒(いちりゅう)食べかけて、その気味合(きみあ)いをお目にかけましょう。
先(ま)づ此(こ)の薬を、かように一粒(いちりゅう)舌(した)の上にのせまして、腹内(ふくない)へ納(おさ)めますると、 イヤどうも言(い)えぬは、胃(い)、心(しん)、肺(はい)、肝(かん)がすこやかに成(な)りて、薫風(くんぷう)喉(のんど)より来(きた)り、 口中(こうちゅう)微涼(びりょう)を生(しょう)ずるが如(ごと)し。
魚鳥(ぎょちょう)、きのこ、麺類(めんるい)の喰合(くいあわ)せ、その外(ほか)、万病速効(まんびょうそっこう)あること神の如(ごと)し。
さて、この薬、第一の奇妙(きみょう)には、舌のまわることが、銭(ぜに)独楽(ごま)がはだしで逃(に)げる。
ひょっと舌がまわり出(だ)すと、矢(や)も楯(たて)もたまらぬじや(じゃ)。
そりゃそりゃそらそりゃ、まわってきたは、廻(まわ)ってくるわ。
アワヤ喉(のんど)、 サタラナ舌に、カ牙(げ)サ歯音(しおん)、ハマの二つは唇(くちびる)の軽重(けいちょう)。
開合(かいごう)さわやかに、 アカサタナハマヤラワオコソトノホモヨロオ。
一つへぎへぎに、へぎほしはじかみ、 盆(ぼん)まめ、盆米(ごめ)、盆ごぼう、摘蓼(つみたで)、つみ豆(まめ)、つみ山椒(さんしょう)、書写山(しょしゃざん)の社僧正(しゃそうじょう)。
粉米(こごめ)のなまがみ、粉米のなまがみ、こん粉米のこなまがみ。
儒子(しゅす)、緋儒子(ひじゅす)、儒子、儒珍(しゅっちん)。
親(おや)も嘉兵衛(かへい)、子(こ)も嘉兵衛、親かへい子かへい、子かへい親かへい。
ふる栗(ぐり)の木の古切口(ふるきりぐち)。
雨がっぱか、番(ばん)合羽(がっぱ)か、貴様(きさま)のきゃはんも皮脚絆(かわぎゃはん)、我等(われら)がきゃはんも皮脚絆。
しつかは(しっかわ)袴(ばかま)のしっぽころびを、三針(みはり)はりながにちよと(ちょと)縫(ぬ)うて、ぬうてちょとぶんだせ、 かは(わ)ら撫子(なでしこ)、野石竹(のぜきちく)。
のら如来(にょらい)、のら如来、三(み)のら如来に六(む)のら如来。
一寸先(ちょとさき)のお小仏(こぼとけ)に、おけつまづきやる(きゃる)な、細溝(ほそどぶ)にどじょにょろり。
京(きょう)の生鱈(なまだら)、奈良(なら)なま学鰹(まながつお)。
ちょと四五貫目(しごかんめ)、 お茶立(ちゃた)ちょ、茶立ちょ、ちゃつ(ちゃっ)と立ちょ茶立ちょ、青竹茶煎(あおだけちゃせん)で、お茶ちゃと立ちゃ。
来(く)るは来るは何が来る高野(こうや)の山(やま)のおこけら小僧(こぞう)。
狸(たぬき)百匹、箸(はし)百ぜん、天目(てんもく)百ぱい、棒(ぼう)八百本。
武具(ぶぐ)、馬具(ばぐ)、武具、馬具、三(み)ぶぐばぐ、合(あわ)せて武具馬具六(む)武具馬具。
菊(きく)栗(くり)、菊栗、三(み)菊栗、合せて菊栗、六(む)菊栗。
麦(むぎ)ごみ麦ごみ、三(み)麦ごみ、合せて麦ごみ六(む)麦ごみ。
あのなげしの長(なが)なぎなたは、誰(た)がなげしの長薙刀(ながなぎなた)ぞ。 向こうのごまがらは、荏(え)の胡麻(ごま)がらか、真(ま)胡麻(ごま)がらか、 あれこそほんの真胡麻(まごま)がら。
がらぴいがらぴい風車(かざぐるま)、おきゃがれこぼし、おきゃがれこ法師(ぼし)、 ゆんべもこぼして又こぼした。
たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、たっぽだっぽ一丁(いっちょう)だこ。
落(お)ちたら煮(に)てくを、煮ても焼いても喰われぬものは、五徳(ごとく)、 鉄(てっ)きゅう、かな熊(ぐま)どうじに、石熊(いしぐま)、石持(いしもち)、虎熊(とらぐま)、虎きす、
中(なか)にも、東寺(とうじ)の羅生門(らしょうもん)には茨城童子(いばらぎどうじ)がうで栗(ぐり)五合(ごんごう)つかんでおむしゃる、かの頼光(らいこう)のひざ元(もと)去(さ)らず。
鮒(ふな)、きんかん、椎茸(しいたけ)、定(さだ)めてごたんな、そば切(き)り、そうめん、うどんか、 愚鈍(ぐどん)な小新発知(こしんぼち)
小棚(こだな)の、小下(こした)の、小桶(こおけ)に、こ味噌(みそ)が、こ有(あ)るぞ、 こ杓子(しゃくし)、こもって、こすくって、こよこせ。
おっと合点だ、 心得(こころえ)たんぼの、川崎(かわさき)、神奈川(かながわ)、保土ヶ谷(ほどがや)、戸塚(とつか)を、走って行けば、やいとを摺(す)りむく、 三里(さんり)ばかりか、藤沢(ふじさわ)、平塚(ひらつか)、大磯(おおいそ)がしや、小磯(こいそ)の宿(しゅく)を七つおきして、 早天(そうてん)そうそう、相州小田原(そうしゅうおだわら)とうちんこう。
隠(かく)れござらぬ貴賎群衆(きせんぐんじゅ)の、花のお江戸の花うゐ(い)ろう。
あれあの花を見て、お心を、おやは(わ)らぎやという、
産子(うぶこ)、這(は)う子(こ)に至(いた)るまで、 此(こ)のうゐろうのご評判(ひょうばん)、ご存知ないとは申されまいまいつぶり、
角(つの)だせ棒だせぼうぼう眉に、臼、杵(きね)、すり鉢ばちばちぐゎらぐゎらぐゎらと、
羽目(はめ)をはずして今日(こんにち)お出(い)での何茂様(いづれもさま)に、 上(あ)げねばならぬ、売らねばならぬと、息(いき)せい引(ひ)っぱり、東方(とうほう)世界の薬の元締(もとじめ)、 薬師如来(やくしにょらい)も照覧(しょうらん)あれと、ホホ敬(うやま)って、外郎はいらっしゃりませぬか。

タイトルとURLをコピーしました